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日々響く日々

最後の試験

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最後の試験

授業は12月で終わり、試験も1月10日ですべて終わった。
そのあとは成績入力と提出書類作成の日々・・・。
口語試験は平均8時間はあるものだから、録音全部確認しなくても
それなりに時間はかかる。
聴解試験も問題作成に時間がかかったりもした。
なのにそのうち二つも試験が無効になるなんて!!!!

学校のシステムの成績入力画面に観光3年のクラスがない!
結局担当も誰かよくわからずうやむやのまま・・・。

まあこんなことはめずらしいことではないんだけれど、
それにしても腹立つ!
学生もかわいそうだ!

なにせ彼らにとっては私の最後の試験。
わたしがはじめてここに来て、一年生からはじめて教えた学生たち。
日本語のわからない彼らと教えるのもはじめてのわたしが
お互い努力して信頼関係を築いて授業を作ってきた。

来学期にはもう彼らの授業はない。
最後、ひとりひとりの顔を見ながら、出欠をとっているときには、
すでに泣きそうになっていた。
日本語名もわたしが一人一人調べてつけた。
あの頃はちゃいなの言葉もまったくわからなかったから
調べるのも苦労したものだ。

そんなことを思い出しながらも泣くのを必死にこらえて
授業も最後はみんなの好きななぞなぞで、
明るく楽しく終わろうとしたら、
最後、全員急に立ち上がり、日本語で
「ありがとうございました」と大きな声で言ってくれた。

もうその瞬間、こらえきれずに号泣

つられて学生たちも泣いている。

日本語を教えたことなどない自分が初めに決めていたことは、

楽しい授業をやる!

ということ。

わたしがやっている紙芝居と同じ参加型の授業を心がけてやってきた。

自分が先生の好き嫌いで苦手教科や得意教科ができたことを振り返り、
とにかく楽しいと少しでも思ってもらいたい、
日本や日本語をおもしろいと思ってもらいたいと思って教えてきた。

そしてそれは実現した。

最後の試験
一人一人の自由会話では
「日本語の能力試験を受けます」とか
「日本に行ってみたい」とか
「今までお世話になりました」とか
「先生と会ったのは運命です」とか
それぞれ色々なことを言ってくれた。

あいうえおさえ言えなかった子たちが
日本語でがんばって気持ちを伝えられるレベルにまでなった。

彼らのクラスを作ったボスは彼らに日本語をみにつけさせて
自分の会社で働かせたいと思っていたようだけど、
そんな思惑とは関係なく、私は彼らに
日本語でもなんでもいいから、何か楽しいと思えることに日々打ち込んで、
よく学び、よく遊び、学生生活を充実したものにしてほしいと伝えてきた。

彼らは日本語を学ぶにはあまりいいとは言えない環境で
それでもがんばってきた。
ボスの評価はどうでも、彼らの大半が日本語の授業を楽しんでくれたこと、
もっと勉強してみたいと検定めざしてがんばる学生たちが出たこと、
日本語を親しみのある言語としてくれたこと、
それだけで私はもう大満足だ。

彼らは最後の試験でも応えてくれた。
とくにさぼってばかりの男子学生たちはがんばってくれた。

最後だから、私の期待に応えようとしてくれたんだろう。

結局、私や彼らのがんばりは、成績として扱われることはなく、
私は怒り心頭だったが、最後の試験は彼らとのこれまでの日々の集大成で
意義あるものだったと思う。

いくら学生と絆が深くても、
意義ある授業ができたとしても、
肩書きがなければなんの評価もされない世界だが、
それでも彼らと過ごした日々は宝物だし、
たとえ成績として扱われない幻の試験だとしても今までで最高の試験だったと思う。

なにせカンニング王でさえ、必死に勉強して合格点をとってくれたのだから!

そして心に響く言葉の数々・・・
    

私たちを見捨てることなくずっといっしょに日本語を勉強してくれてありがとうございます。
あなたの授業は活発でだんだん日本語が好きになっていきました。
先生がもう教えてくれないと知って言葉に言い表せないぐらいショックでした。
本当にありがとうございます。安心してください、私たちはこれからも日本語を勉強し続けます。

今日の試験が終わったということは、あなたの日本語の授業がこれで正式に終わったということを意味します。非常に非常に離れがたいです。私の目に映るあなたは、責任感があっておもしろい先生でした。みんなあなたが大好きです。私は今学期調子が悪く、学習方面にも後悔が残りますが、私は日本語の勉強は好きなままだし、来学期はがんばって勉強します。

今学期、あまり勉強しなかったけど、必ず試験は合格するようにがんばります。
二年間、私たちを教えてくれてありがとう。私たちは全員あなたが大好きです。

もちろんこれだけじゃない、
試験の時にはもっと多くの言葉をもらった。


ありがとう!
私の可愛い学生たち!

そして今また号泣・・・



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コメント

1. 無題

お元気そうで、安心しました。
今年の冬は昨年に比べ暖冬です。
裏山にはすそ野まで積雪がありません。
田んぼの雑草が早く成長しています。
そろそろトラクターで耕さねければなりません。
ぼちぼち、やってください。
  2019.1.22. 佐藤 公俊

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倫子
性別:
非公開

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