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日々響く日々

りんたろう、早く戻ってきて

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りんたろう、早く戻ってきて

愛犬りんたろうが死んだ。

7月16日でりんたろうは18歳になった。
私はこの日、帰国した。
りんたろうは震える足で立ちながら私のことを待っていた。

りんたろうは家の中で飼っていたけど、
トイレは外でするよくできた犬だった。
トイレに行きたくなるとよく玄関を開けてくれと言っていた。

でも私が帰ったときには、もうすっかり足腰も弱くなっていて、
ほとんど玄関にいたようだし、玄関に敷かれた敷物は
おしっこや便のあとがたくさんあった。

父はどれだけたいへんだったことだろう。
まさに老老介護だ。
夜中にりんたろうが倒れたり鳴いたりするので
父は眠れない夜を過ごしたらしい。

生活時間もりんたろうに合わせて
暗い時間はなるべく起きててやろうとしてくれたんだろう。
夜中まで起きて、朝遅い時間に起きるというリズムになっていたようだ。

眠れない夜もあったようで、たいへんだったらしい。

これは全部隣のおばさんたちから聞いたことだ。
父は私には弱音を吐いてくれない。
私に心配かけないようにという配慮もあったんだろう。
申し訳ない気持ちでいっぱいだった。

帰国後、さっそくりんたろうの寝床をきれいにすべく、
敷物やペットシーツを買ってきて、
おしりもきれいに拭いてやった。

そのときの写真がこれ。

玄関の上がり框にりんたろうを寝かせてやったんだけど、
これが大きな失敗だったかもしれない。

夜中、りんたろうはここからずり落ちて鳴いていた。
すぐ抱き起こして下に寝かせてやったけど
それから歩けなくなった。

私のせいかもしれないとひどく悔やんだ。
敷物が新しくなったから滑ったのかもしれない。
ペットシーツで滑ったのかもしれない。
それとも上じゃなくて下に置くべきだったか。
上の敷物の方がマットもあるし心地いいだろうと判断した。
でもまさか落ちるとは思わなかった。

次の日から大便は垂れ流し。
水も飲めない。
私は夜はずっとりんたろうにつきっきりだった。
暗いと不安になるのかりんたろうが鳴いて呼ぶからだ。

りんたろうはずっとこの体勢で寝ていた。
下痢を垂れ流すといつも苦しそうに鳴いていた。
あれは痛みがあったのか、それともびっくりしていたのか……。
お湯をかけて何度も拭いた。
もともと肛門をさわられるのが嫌なりんたろうはそれを嫌がった。
ああ、なんで最後まで嫌なことをしてしまったんだろう……。

翌日、ずっと同じ体勢では疲れると思い、抱き上げて体の向きを変えてやった。
軽い・・・。
その軽さにびっくりした。
元気なときには17キロぐらいあったりんたろうは
最後は10.6キロにまで体重が落ちていた。

持ち上げられたりんたろうもびっくりしたのか、
おしっこをもらした。
もしかしたら痛かったんだろうか。

そしてこのように寝かせてやったけど、
もう足も固まって動かない。

布団の上が大好きだったりんたろう。
少しでも気持ちがいいようにと新しい敷物の上に寝かせてやったけど
体勢を変えない方がよかっただろうか。

そして7月19日から朝にかけて
私はずっと玄関にいて横になったりしながら
りんたろうをなで続けた。

そして朝の4時半。
りんたろうが少し落ち着いた様子だったので
私は二階の部屋に寝に行った。

9時ぐらいになって起きて、
下に降りると、玄関にはもうりんたろうの姿はなかった。

父が居間に入れて布団に寝かせてやっていた。

ああ、どうしてわたしはりんたろうのそばを離れたんだろう。
どうして最期の瞬間までそばにいてやれなかったんだろう。

ものすごく後悔した。

さんざん泣いたけど、りんたろうがたった一人の家族になっていた
一人暮らしの父のほうがダメージは計り知れない。

ここは私がしっかりして葬儀をしなければと思い、
隣のおばさんに火葬場の場所を聞きに行った。
前に知っていると言っていたからだ。

正直’こんなとき一人でいたくない。
それもあって隣のおじさんとおばさんに甘えてしまった。
おばさんは自分のうちの飼い猫のかかりつけの病院に電話して
調べて聞いてくれた。

二つ候補があったけど、近くて電話のとき心底いたわってくれている感じだった
ペット霊園にした。

おばさんに大きなダンボールをもらい、父がそのダンボールにりんたろうを入れた。
箱を持ち上げるとき、りんたろうの鼻に指が当たってしまい、
思わず「ごめん!」と言ったけど、当然りんたろうは反応しない。
痛烈に死を実感した。

火葬場は神社だった。
 
神社に着いた途端、突然大雨になり
りんたろうを車から降ろしたときが一番ひどかった。

まず優しそうな神社の奥さんがお茶を出してくれた。
そしてどういう内容のことをやるのか教えてくれた。
個別の葬儀に火葬、手紙やお守りや位牌、一年の供養なども含めた良心的な価格。
持参したのはりんたろうの写真を入れた写真立てと
りんたろうの好物。
わたしは花は神社にお任せしたが、自分で用意してもいいらしい。


そして葬儀。
シルクのベッドに寝かされたりんたろう・・・。

神社の葬儀は人間のも参加したことはなく、お寺の葬儀とは全然ちがっていた。
変に湿っぽくなりすぎなくていいと思った。

そして神社にも三途の川概念が存在するのか、
三途の川を渡るときの御守りということで
りんたろうに持たせるものを選ばせてもらった。
私の好きな明るい緑。



そして火葬。
りんたろうの周りに花を飾った。
好物の軟骨ジャーキーなども添えた。
でもりんたろうが好きだった豆腐は水分が多いからダメだと言われた。

最後にりんたろうの額のところの匂いを嗅いだ。
私が大好きだった匂い。
嗅げばすぐ「ああ、これだ」と思い出すのに
もう思い出せない。

火葬の扉が閉まるときが一番辛かった。
「りんたろう」と何度も名前を呼んで泣き叫んだ。

この世からりんたろうの形がなくなる。
もう触ることもできない。
私の人生の中で一番触ってきたのはまちがいなくりんたろうだ。
あの感触が消える。
りんたろうの匂いが消える。
それは耐え難い苦痛だった。

焼いている間、私は父に色々なことを話した。
父が祖母が死んだあと、傷ついているのに寄り添ってあげられなかったことを
詫びたりもした。

以前は友達のように仲がよかった父だけど
病気や祖母の死や私の結婚などがあり、
全然話さなくなってしまっていた。

一人にしてしまう父のことをりんたろうにいつもよく頼んでいた。
りんたろうは賢い犬だったし、よく理解していた。
そして約束通り最後まで父に付き従っていた。
そして私が帰国するのを待って死んだ。
歩けなくなって迷惑かけないように
父に負担をかけないように
自分の後始末は全部私に託して死んだんだと思う。

本当に立派な犬だった。

がんばったねってもっと褒めてやればよかった。

私が最後に耳元でかけた言葉は
「りんたろう、大好きだよ」だった。

もっともっと褒めてやればよかった。

父は帰宅するまでずっと泣くのを我慢していたんだろう。
まるで人間ぐらい大きな骨壷に入ったりんたろうの骨を
小さなテーブルに乗せて位牌を置いた仏壇みたいなところの前で
父は初めて泣いた。

今までりんたろうがどれだけ父の支えになってきたことか。

父が脳梗塞で倒れたあとの一番のリハビリは
りんたろうと山を散歩することだった。
りんたろうがぐいぐいひっぱって、スパルタ式に父を歩かせた。

父がひとりきりになってもりんたろうは私の言いつけを守って
ずっと父に寄り添っていた。
私が帰国した時も父の隣が定位置になっていた。

本当に立派な犬だった。
かけがえのない家族だった。

父が倒れて一人で不安なときもりんたろうはそばにいてくれた。
祖母が死んだ慌ただしいときもりんたろうはそばにいてくれた。
別居して泣いて帰ってきたときもりんたろうは慰めてくれた。

ううっ、りんたろうに会いたい!!!!!

もう本当に泣いて泣いて頭痛くなるまで泣いた。
私は辛い気持ちを隠せない人間だから、
ちゃいなのLINEみたいなWeChatにも投稿して
学生たちにりんたろうの死を伝えた。

色んな学生が慰めてくれた。
本当に私にとってのちゃいな人はいつもいつもとても優しい。

そのうちの一人の学生が、
先生この映画を見て!と進めてきたのが
「僕のワンダフルライフ」

飼い主と絆の深い犬が何度も生まれ変わって飼い主に会いに来るって物語。
これを続けて三回観た。

その学生も強く主張してたけど
りんたろうは絶対に戻ってきてくれる!と確信した。

そもそもりんたろうは今回初めて会ったわけじゃない。
その道のプロのぬっきーも
りんたろうが子犬のときの写真見て
「この犬は君のことを知っている目をしているね」と言ったことがある。

私は信じている!絶対戻ってきてくれる!
私は祈っている!
どうか父のために戻ってきて!

この映画は九月に続編が公開される。
「僕のワンダフルジャーニー」
これは前作の主人公が今度は生まれ変わって孫娘を助けてやってと
愛犬に頼むといった内容らしい。

私も今りんたろうの魂に呼びかけている。
どうか父のためにすぐ戻ってきて!と。

私も父のためにできるかぎりのことはしたい。
でも私じゃりんたろうの代わりにはなれないんだよ。
りんたろう!!!!!!戻ってきて!!!!!!!

少しでも父の辛さを和らげるために
まずりんたろうの毛だらけのカーペットをそうじしたり、
父が捨てられないだろうからりんたろうのものは私が全部捨てたり、
日本ペットロス協会のカウンセリング調べたり、
ペットロスの本も二冊買った。

そのうちの一冊は
以前私が出した本の表紙絵も書いてくれた葉祥明さんの絵本
「虹の橋」

虹の橋は作者不明の詩がもとになってるらしく
犬仲間の間では有名な話だといとこが教えてくれた。

ペットは死んだら天国に行く虹の橋のたもとで
飼い主を待っているそうな。

待ってなくていいから戻ってきてよ!りんたろう!!!!

おまえは本当に名犬だし、私と心もつながってるから
絶対気持ちは届いてるよね?

お願いだよ、りんたろう!
私がちゃいなに戻る前に戻ってきて!!!!

毎日毎日祈っている。
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コメント

1. 無題

犬の18歳は長寿、犬生を全うしたと思います。サヨナラを言うために貴方の帰国を頑張って待っていたのかも?

昔飼っていた子を思い出しました。その子の墓に植えた植木鉢の小さな枝が今では大きな樹になっています。記憶に残る限り、その子も生き続けるかと。
https://blue.ap.teacup.com/applet/salsa2001/5836/trackback

Re:無題

Hiroshiさん、
コメントありがとうございます。

そうですね、りんたろうは私を待っててくれました。
もともと死んだ日の20日ぐらいに帰ろうとしてたんですが、
飼い主の帰宅が本能でわかるという犬だけに、
その日まではがんばろうとしてくれたのかもしれません。

写真見ました。素敵なお墓ですね。
木の成長を見ながら時間の経過を思うのは
緩やかな癒しになると思います。

本当に、記憶の中でずっと生き続けますね。

ありがとうございました。

2. 無題

飼い犬が亡くなる事は寂しい事です。
今のサブの前がプクと言う犬でした。
老衰で目が見えなくて、敷地内から出ないようにしていたのですが、隙間から出たようで。
いくら探しても見つからず、天国へ行ったようです。
それからは、犬は飼わないと言っていたが、孫たちの要望でサブが来ています。
寂しいですね。

Re:無題

誰か家族が死ぬと家の雰囲気ががらりと変わりますよね。
犬も同じです。
サブかわいかったです。
大事にしてくださいね。


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HN:
倫子
性別:
非公開

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