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日々響く日々

嵐のような夜

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嵐のような夜

道でつまづいて転んだ。
もともとつまづきやすいし転びやすいが、さすがに最近あまり歩いてないし、老化で足腰弱っているのが気になった。
そんなわけで寝たきり防止の最低限歩数4000歩は歩こうと思って、歩き始めた。
ちゃいな語を聞きながら、声に出しながら歩く。
昔テレビで東大生が全力疾走しながら暗記する勉強方法がいいとやっていたのを思い出した。
 
この前授業前二年生がうるさかったんだけど、理由を聞いたら、これから一か月毎日1.6キロ走らなきゃないらしい。大学命令だそうだ。
ほんとここの大学生ってわけのわからん管理されてるなーと思う。
まあ、食欲の秋、運動の秋だしいいじゃん?と言ったけど、運動が必要なのはむしろ私のほうだ!
 
でもまあ歩くのは気持ちがいい。
 
4000歩の記録を誇らしげにSNSに投稿(笑)したら、むしろおまえ何道で転んでんだとウヌーアなんかからは心配のメッセージがくるし、エスペラント学科の男の子と女の子も心配してわざわざ様子を見に来てくれた。

で、彼らと楽しくおしゃべりして、夜も九時だし、そろそろ戻りますってところでドアがノック!
 
こんな時間にだれだよ・・・と、もしや向かいの緑髪女か?と心配になった。
 
例の「私英語しか離せないの~」な緑髪の女は、最近連日お向かいのバングラデシュ人の先生の家にくる。朝だろうが夜だろうが関係なく! 一日何回も。
 
こいつ、突然うちにも皿借りにきたことあるし、いきなり「今夜はパーティーよ」がまた始まるのかと思って、ちょっとビビリながらドアを開けた。
 
するとそこにいたのはシンジ君だった。
 
彼は最近本当に精神状態が悪い。
 
実は前日もしつこく電話がなって、無視してたけどしつこいのでメッセージで返事した。
 
彼はサザエと連絡がとりたいのだが、サザエが拒否している。それで錯乱状態。
 
わたしはメッセージで
「目的はなんだ?」「連絡してどうする?」「彼女は医者じゃない」
ということを返した。
「まずは自分の状態を改善してから連絡するようにと」
 
サザエはサザエで苦しんでいるのだ。
 
シンジ君は私や友達にはサザエのことはただのともだちというのにサザエには気を持たせるようなことをいい、サザエは自分の精神状態回復のためだけに連絡されて、そのあとは自分も消耗してしまう・・・。
 
彼女の方まで精神状態が心配だった。
 
だからわたしは彼女に今は連絡きても無視しろと言った。
 
ところがそのせいでシンジくん錯乱。
 
わたしが彼女につながないとわかると、ルームメイトのくまくんの携帯をかりて、連絡をした。
 
相手がくまかと思って電話に出たサザエ。
 
そこからシンジ君に怒りをぶちまけられる。
 
でも結局シンジ君とわかって、連絡は遮断。
 
くまによると、その夜、シンジ君はまた自傷行為。
ルームメイトは彼の手当をし、刃物類もすべて捨てたらしい。
 
で、昨夜。
 
シンジ君が錯乱状態で飛び込んでくる。

ちょうど帰ろうとしていたエスペラントの学生たちは、これは危険だと思ったのか、私を一人にしないためにその場に残ってくれていた。
 
彼女に連絡してくれ!どうして彼女は自分を拒絶するのか!と叫び散らすシンジ君にわたしは冷静に答えた。
 
「答えは簡単。君に目的がないからだ。何のために連絡するの? 彼女が連絡を望むならいつでも取り次いでやる」
 
連絡先を削除してくれと言ったのはシンジ君の方。
連絡してもただ自分は不幸だと嘆くばかりで、サザエやサザエのお母さんへの劣等感と敗北感と怒りの混ざった被害者意識炸裂。
 
そのせいでサザエは罪悪感を覚えておかあさんからの連絡に一切応じず、二人の関係も悪くなってしまった。
 
これに関してはわたしはサザエを叱りつけた。
 
「サザエがつらいとき、心配してくれるのは誰? サザエのことを思っているのは誰? サザエの味方でいてくれるのは、シンジ君じゃなくてお母さんだよ! このバカちんが! 早くおかあさんに返事しなさい!」
 
そしてサザエは「すみません」と泣き出した。
 
シンジくんはただ今自分の不安を紛らわすためにサザエに依存しているだけ。
サザエのことは何も考えていない。
 
それが証拠に昨夜も
「明日は教師資格試験なのに! 彼女は電話にでない! これじゃ自分は試験に備えられない!」
とわめきはじめた。
 
おいおいおいおい、サザエはおまえの精神安定剤じゃないんだよ。
サザエにだって自分の生活がある。
 
それにドアを開けっ放しでわめきちらすので、向かいの部屋の人も何事かと出てくるし、四階のリーリーにも心配される。外には警備のおじちゃんがいるし、迷惑だから中に入れと言ってるのに彼は言うことをきかない。


それどころかつながらない電話に向かって
「先輩! どうして出てくれないんだ! どうしてこんなめにあわせるんだ!」
と怒鳴り散らして、携帯を投げ捨てる。
 
そしてその場にうずくまって嗚咽。
 
その場にいたエスペラントの学生にも申し訳ない。
ただわたしの心配をして来てくれただけなのに、とんでもない状況になってるし。
 
なんにしてもいつもはわたし一人で彼をなだめるのだが、さすがに今回はちょっとやばいと思った。
 
顔つきがもう普通じゃない。
 
だからルームメイトのくまを呼んだ。
 
このまま一人で帰しても心配だし。
 
くまが来て少し落ち着いたかと思いきや、くまがなだめるとまたキレて怒鳴り散らすシンジ君。
 
くまといっしょに来たルームメイトが彼を連れ帰り、わたしはくまを中に入れた。
 
くまがきて、シンジ君が去ったことで安心したエスペラントの学生たちも帰っていった。すごく心配して、何かあったら何時でもいいからすぐ電話するようにと二人とも私に言った。あと一人のときにドアを開けてはいけないと。
なんか「狼と七匹の子ヤギ」思い出した。
 
それにしてもくまいいやつ!
シンジ君と対照的にぼんぼんのくまはのほほんとしてて、見てるだけで癒されるタイプ。
 
「先生、未来のことは未来にがんばればいいことです。どうして彼は今に目を向けず、未来のことでばかり悩むのか。夜も寝るのが遅いから体の調子が悪い。体の調子が悪いから心も悪い。早く寝ないとダメです」
 
とまっとうなことをいう健全な子。
 
シンジ君のせいで自分まで寝れないのにシンジ君のことを心配しているし、そんなくまを心配するわたしにも「先生ぼくのことは心配しないで、彼はともだちだから」という。
 
本当にくま大好きだー!!!!!
 
結局寮に戻ってシンジくんは少し落ち着いたらしい。
くまから連絡がきた。
 
それにしても最近わたしはシンジ君に腹を立てている。
 
サザエもくまもわたしもシンジ君に生活わりとかき乱されているのに自分だけが救われることしか考えていない。
 
サザエと連絡とっているうちはまだ安定していたらしいけど、サザエがどんどん弱っていくのでみかねてわたしがサザエに連絡をとるなと言ったのだ。
 
くまも今は時間が必要だし二人は離れたほうがいいと言っているんだけど、自分の判断が正しいかどうかなんてわからない。男女のことだもの。
 
でも時間が必要なのはたしか。
今はまだともだちにはなれない。
 
サザエはシンジ君を忘れる努力をしているのに連絡がくれば心かき乱される。
シンジくんはサザエに依存しているだけでサザエの気持ちを踏みにじってるし。
 
まずはお互いしっかり自立するのが大事だと思う。
それには時間。
 
四月にはシンジ君もじゃぱん留学が決まっているのだし、今自傷行為なんてしている場合じゃない。
 
昨日もシンジくんは
「明日試験なのに連絡できない! どうしたらいいんですか!」
と私にキレていたけど
「明日試験ならやることは一つ。こんなところでわめいていないで勉強に集中しろ」
わたしは答えた。
 
でもシンジ君にしてみれば精神が安定しないうちは勉強できない、そのためにはサザエと話すことが必要、そして安定したら勉強するからと電話は切る。
 
電話のあと、毎回サザエが病んでいるのも気にせずに。
 
くまの方がよほどサザエのことを客観的に見ている。
 
「彼女はもともとよく笑っている人でした。でもシンジとつきあってから笑顔が消えた」
 
そう、そしてあんなに食べることが好きだったことが食べなくなってどんどん痩せていった。
 
わたしは二人の応援をしていたが、今はサザエを守りたい。
だからサザエには楽しい場所や食べ物やサザエの好きなものの話しかしない。
シンジ君の話をすると彼女が病むからだ。
 
そんなわたしにサザエに連絡しろと要求してくるシンジには正直腹が立っている。
 
わたしがサザエの笑顔を取り戻そうと必死になってる万分の一でもおまえはサザエのことを考えたのかと
最初はシンジ君に同情もしていたが、最近は本当にサザエが心配なのだ。
 
 
だってわたしもかなり消耗したもの。
 
くまが「负能量」って言ってたけど、まさに負のエネルギーなんだよなー
 
自分がよほどいいエネルギー保ってないと簡単に巻き込まれるぐらい負のエネルギーが大きい。
 
だから今のサザエはダメだ。呑まれている。
 
もとの太陽みたいな彼女ならまだ対抗できるんだろうけど。
 
ひだまりエネルギーのくまでさえけっこうやられてるからなぁ。
 
そりゃそうだろう、毎回自傷行為の始末してるんだから。
 
本気で死ぬわけないってのはわたしもくまもわかってる。でもだからといって、放置はできないし、くまもルームメイトたちも本当にたいへんだと思う。
 
まあとにかく昨日はエスペラント学科の二人には悪かったけど、正直いてくれて助かった。
 
ちょっとあれは怖い。
顔つきが尋常じゃない。
確実に病んでいる。

 
くまでさえ呑まれそうになる負のエネルギー。
わたしは決して飲まれないためにも
自分のエネルギーを自立させる日々の努力をしていこう。
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