またしてもお腹壊した・・・。
もうほんとここではにじゃぱんの数倍あたる確率が高い。
そんなわけで病院に行き、
油物、乳製品に加えてなぜか豆製品まで禁止され
お粥しか食べれない状態。
梅干があってよかった・・・。
薬を飲んで少しよくなってきたら野菜粥にしてみた。
←今晩
梅粥しか食べれなかったときはもうフラフラで授業も行きたくなかったけれど
国慶節の七連休前の補講があるから、日曜日、がんばって作文の授業に行った。
シンジ君のクラスである。
月曜日もシンジ君のクラスは授業があったんだけど
学生たちは早く家に帰りたいから、月曜の分もまとめて日曜にやってくれと言い出す。
バカヤロー殺す気か!と不調を訴えると
じゃあ、今日も明日も休みましょー!と呑気に言ってくる。
シンジ君のクラスのノリはほのぼのしてて明るくて私は好きなんだけれども
まあこれもエヴァの学園パートみたいなもので、
この夜、シンジ君は
「僕なんていなくなればいいんだ!」の全開ですよ!
サザエちゃんは留学のためのビザのことで帰省中。
今夜も梅粥か・・・と思ってたところ、
サザエから緊急連絡。
シンジ君を助けて!!!!
なんでも電話で別れ話になったとかで
ただでさえすぐ死にたがるシンジ君が心配なので
わたしに助けを求めてきた。
シンジ君には行き場所がないの!
まあ、そんなわけで、シンジ君を
「ちょっと、手伝って~」と言って呼び出した。
シンジ君は頼りにされると応える子なのですぐ来てくれた。
玄関にある水を台所まで運ぶという
自分でもできることを頼んだが、
今弱ってるからできないってことで運んでもらった。
で、直球で
「最近サザエとどう?」と聞いてみた。
途端に彼の表情が曇った。
ソファーに座らせて話を聞くと、
やはりまだ夏休みの時にサザエ母に否定された傷が
どうしても癒えないらしく苦しいとのこと。
サザエもこのことでずっと悩んでいた。
自分の母親のせいでシンジ君を苦しめていることが辛い。
さらにいつまでも同じことをずっと言い続けるシンジ君に
少し苛立ちもあるようで、
「じゃ、どうすればいい?」「別れればいい?」と怒る。
今回もその流れで
「別れる!」となったらしいが、
疲れきっていたシンジ君も水から別れたいと言ったらしい。
サザエは発言に後悔し、わたしには「別れたくない」と泣きついた。
ああ~どこかでみた光景だよ。
私とサザエはよく似てる。
そして元旦那にシンジ君はよく似てる。
シンジ君の心がわかるのは元旦那しかいないだろう。
元旦那曰く、
「彼はいつも周りに心配はされるけど信頼はされなかった」とのこと。
同じ境遇だったらしい。
母親は心配はするけど、決して息子を信頼せず、
何かしようとしても「心配」から反対。
結局信頼されない息子はやり場のない怒りと閉塞感で
シンジ君の場合は自らを傷つけていった。
元旦那が言うには、
母親がそんなんだと、子供は自分から何かするという機会を奪われ
何もできることがないから自分を傷つけていくという方向に向かうらしい。
シンジ君は、高校時代の彼女と別れたあと、心を病んでしまった。
高校が辛くて彼は自分の意志で転校した。
そのときも親は反対したけど、彼は自分を守るために意思を貫いた。
結果、それはよかったらしいんだけど、
親にしていたら無駄な金を使わせて迷惑をかけたダメな子供ということになるらしく、
いつも面倒を起こす、心配をかけるというシンジ君のキャラクター設定が
できあがってしまった。
大学進学を希望するシンジ君に対しても
金を稼ぐならまだしも金を使わせるなんて!と親は反対して批判。
ここちゃいなではただでさえ稼いでなんぼ、稼ぐのが偉いってのがあって
ましてやあまり裕福ではシンジ君の家では
大学だ留学だなんていうのは、親に金を出させてこの親不孝者めとなるらしい。
とにかくシンジ君は周りに
あいつは本当に困った奴だ、ダメな奴だと
心配されるポジションになってしまった。
だから本人もそういう自分でいようとしているように思う。
人は相手が求める役割を演じる。
サザエもそう。
本来は心配性などではないサザエが
シンジ君に対しては異様なまでに心配性なのは
シンジ君がそうさせているとも言える。
シンジ君自ら「心配される俺」ってのから抜け出さない限り
サザエは心配さえられる役割を知らずと演じさられる。
もともとサザエは優しい子で人が困っていたら助けたいという
単純明快ないい子だ。
だから私がここに引っ越したばかりの時、
汚いへやを掃除する気も失せて
「あああああ!もういーやーだー!!!!!」
と半ギレになってた時も、
サザエが
「先生、何もしなくていい!私がやるから!」と
私が一番許せなかったトイレを一人でピカピカにしてくれた。
この時、同じタイミングでシンジ君も
宿題の課題が突然変わってパニクってたから、
部屋の汚さに打ちのめされてる私とパニクるシンジ君の両方を
サザエは
「だいじょうぶ!私がなんとかするから!」と
明るく慰めていたのだ。
そんなサザエだからこそ、自分も力になりたいと思ったわけだけど
さすがに今回のシンジ君はエヴァンゲリオン暴走状態で
手がつけられない状態だった。
しかも原因はサザエだ。
シンジ君を無事保護したと連絡したのに
シンジ君が心配で心配でサザエは何度もメッセージを送ってくる。
でもシンジ君のいつもの独白を聞いていた私は返事をしなかった。
すると今度はシンジ君の携帯に電話。
電話になるとまたお母さんの話をぶり返してシンジ君が興奮。
サザエも声を荒らげている。
シンジ君は壊れたテープレコーダーのように同じことしか言わない。
「こわい、こわい、どうして?」
「そんなにぼくは否定されるような人間なのか?」
「どうしておばさんはぼくにあんなひどいことを言うのか」
「どうしても忘れられない」
シンジ君が繰り返すのは、傷ついている自分の心に
寄り添ってもらいたいからだ。
でもサザエは
「だいじょうぶ」
「これから母の評価も変る」
「がんばろう」となんとか解決しようとする。
シンジ君は解決は求めていない。
ただ気持ちをわかってもらいたいだけ。
それをわかってくれないサザエに絶望する。
でもサザエの苛立ちもわかる。
あれからもう二ヶ月は経過しているのに
いつまでも同じことの繰り返し……。
だからどうしてもサザエの口調は彼を責めるような怒気を含む。
シンジ君も興奮して声を荒げる。
泣きながら、サザエを電話越しに怒鳴りつける。
そのうちシンジ君はストレスの限界に達し、
悲痛な声で泣き喚くと、
トイレに駆け込み、嘔吐した。
私はずっと彼の背中をさすりながらなだめた。
サザエには電話するなとキツく言った。
サザエはただただ
「シンジ君が好きです。別れたくない」と繰り返す。
そこに元旦那登場。
こりゃもう手に負えねーと呼んだ。
シンジ君の気持ちに心から共感できるのは元旦那しかいない。
元旦那は黙ってシンジ君の話を聞いていた。
でもシンジ君は余裕がなくて人の話を聞けるような状態ではない。
「今日は本当に辛くて授業になんか行きたくなかった!」と言われたけど、
いや、うん、わたしの授業ですよね?
わたしも体調不良で行きたくなかったんだけどね・・・と
目の前で粥をすすりながら思った。
これがサザエなら私の体調を気遣うところだけれど
とにかくシンジ君にはそんな余裕がないのだ。
だから私が
「おばちゃんなんて、無責任に人の悪口言うもんだから気にするな」
と言っても
サザエの母親に言われたことは決して忘れない。
実際サザエの母はこの件をすっかり忘れているらしいが。
そもそもちゃいなではじゃぱんほどうつ病への理解がない。
じゃぱんだって欧米に比べたら遅れているんだろうけど
ちゃいなはさらにそれ以下のように思う。
高校時代病院にぶち込まれたシンジ君は
そのこと自体がトラウマになっていた。
サザエ母が交際を反対する理由の一つもここにある。
うつ病や心の病に対する理解がほとんどない。
以前サザエがシンジ君のことを偏見の目で見ないのは
私と元夫だけだと言っていたことがある。
いや、べつに、じゃぱんなら、シンジ君みたいに
親とうまくいってないとか、心を病みましてとか、
めずらしいことじゃないからなぁ。
だからこそシンジ君にじゃぱんに行けと言ったわけだし。
本屋に行けばその手の本が山ほどあるし、
漫画やアニメもメンがヘラったキャラクターが通常営業、
子供から大人まで心が壊れやすい社会。
きっと自分だけがおかしいなんて思えないだろう。
この国で味わう疎外感も少しは薄れるんじゃないかと思った。
あと何より孤独になれる。
シンジ君のような子は一人の時間がとくに必要と元旦那も言っていた。
自然の中を一人で歩き回るだけでいいと。
ああ、だから元旦那はよく夜中に一人で徘徊していたのだな。
こういう繊細すぎる人たちは自分を保護する気持ちがとくに強い。
それを侵害する相手に対して時には攻撃的になったり
その攻撃が内に向かったりするわけだ。
実際、シンジくんは今逃げたいと言っている。
サザエのことは好きだけど、自分を守りたいと言っている。
サザエは明日学校に戻ってくるが、とりあえず
シンジ君への連絡は我慢しろと言った。
シンジ君に彼女が好きか?と聞けば好きだという。
でも会いたいか?と聞くととたんに沈黙する。
「先生、ぼくは逃げたい」
「うん、逃げてもいいよ」
「心を休憩させたい」
「うん、必要だね」
「彼女と出会ってから、最高の幸せと最悪の不幸を感じている」
その振り幅にどうやら疲れてしまったらしい。
「彼女は好きです。でも、まだぼくは逃げたい。一日でも」
実はこのメッセージのやりとりをしているとき、
同時にサザエからもメッセージが来ていた。
サザエは
「わたしが彼に力をあげたい」
「私たちの未来のために」
「がんばりたい」
と言う。
「あまり未来にとらわれないほうがいいよ」
「今の彼を受け入れてあげなよ」
「未来の話は彼を苦しめる」
私はこう返した。
実際、彼は言った。
「ぼくはこれから彼女の母親の評価をよくするために
自分を変えていかなきゃいけないのか?
ぼくの人生はそのためにあるというのか?」
声は怒りで震えていた。
はっきりいって彼は心配されるような人間じゃない。
意志は強いし、能力もあるし、努力家で結果も出してきている。
ただそれを周囲に認めてもらえなかっただけだ。
だから彼は怒りを感じているのだ。
自分のことを否定しながらも、
本当は否定される自分じゃないとわかっているから怒っている。
よく「自分を信じるのが大事」というけれど、
自分で自分のことをどう信じていいのかわからない時もある。
かくいう私も自己肯定感は低い方だし
いつもいつもつまらない劣等感に苛まれてきた。
だから私はシンジ君に言った。
「サザエのお母さんがシンジ君を悪い人だと言ったとしても
私はそうは思ってない。シンジ君は悪くない!
私の方がサザエ母よりシンジ君のことをよく知っている。
その私が信じられないか? 私よりサザエ母を信じるか?」
とにかくわたしを信じなさい!と
まるでどこかの教祖様みたいなことを言ったけど、
自分が信じられない時に自分を信じろと言ったって無理だし
これはこれでアリな方法。
私が私を信じられないとき、
それでもあなたは大丈夫だから、全部OKと言ってくれた人がいた。
たとえ自分のことは信じられなくてもその人の言葉は信じることができた。
このように自分を信じてくれてだいじょうぶと言ってくれる友人たちは
ほかにもいる。
それに大いに救われてきた。
だからわたしも同じような言葉をシンジ君にかけてあげたかった。
でもわたしもシンジ君の気持ちに完全に寄り添うことはできてない。
サザエ母のことを考えたくないのに考えて、
心の中にこんがらがった糸があってどうにもできなくて苦しい、
とシンジ君が言ったのに対し、
「切れば?」と言ったのが私。
元旦那に
「あなたはそうだよね」といわれて
「じゃ、燃せば」と言うのが私。
「自分を否定するやつなんて、こっちから拒絶してやれよ!」と
暴論を吐くと
「それができるのは強い人」と元旦那に言われた。
いや、わたしも決して強くはないが
この二人にしてみたら、野蛮としか言いようがないんだろうな。
サザエがシンジ君も元旦那も似ていて二人は猫のようだと言った。
近づけばすぐ逃げてどこかに行ってしまう。
気まぐれに寄ってくるくせにかまおうとするとまた逃げる。
ちなみにこの二人が使っているSNSのプロフイール画像は
どちらも不安げな顔をした寂しそうな猫。
サザエはわたしに
「次に恋をするなら、わたしに似た人がいいです」
と言った。
要するにサザエのように単純でわかりやすくて明るい人。
正反対の二人は強烈に惹かれあい、そして激しく傷つけ合い
ボロボロになってしまった。
育った環境も基本的な資質もまったくちがう二人が
心から理解しあえることはない。
いっしょにいればいるほど、近づくほど
心が遠く離れて孤独に苛まれるだろう。
でも理解できないまでも、理解できない相手の状態を
そのまま受け入れることが何より大事なことだと思う。
ただしそれが恋人や配偶者である場合、非常に難しいことなのだ。
サザエよ、君はまだ若い。
この先、幸せな恋もできるだろう。
シンジ君を幸せにしようと元気を与えようと思う前に
まずは自分を幸せにしておくれ。
そのためにじゃぱんに行かせるのだから。
以前のような太陽のような明るいサザエが取り戻せたら
またシンジ君は戻ってくるよ。
シンジ君もシンジ君でここからは自分との戦い。
留学先の某大学の環境はとてもよさそうだし
まず親と物理的な距離をとって
心配されない自分っていうのを自分で認めてやってくれ。
ああ、しかし本当に似ているなぁ。
私と元旦那も同じような感じだった。
そしてちゃいなで心機一転がんばろうとして来たのだ。
四人で話していると反省会のような感じになってくる。
継続する関係だけが人間関係の成功例とは思わないけれど
一人はやっぱり虚しいでござる。
まあこの先、若い二人はどうなるかわからんし
じゃぱんに行ったあとのこのあとの展開はわからんけど。
サザエは無事帰ってきただろうか。
てっきり連休を実家で過ごすのかと思ったけれど
家にいるのも辛いそうだ。
家族に辛い顔は絶対に見せられない。
しかもお父さんの誕生日だったらしく、
がんばって笑っていたそうだ。
前述したように一人にはなりにくい家庭。
家族に心配をかけたくないサザエは
かなり無理している様子。
寮でも家でも泣けないなんて
いつでも集団行動なんて
ほんと気の毒な国だな。
かといってじゃぱんのように容易に孤独になれる
国もどうかと思うんですよ。
それぞれの国にいいところと悪いところがある。
正反対の二人にも。
いいとか悪いとかじゃなく、それが個性なんだと
ただ自然にありのままに受け入れられればいいのにね。
ジャッジするんじゃなくて。
サザエにシンジ君からの連絡を待てとは言ったけど、
サザエが先にじゃぱんに行く前に
会ってほしいなぁシンジ君。
サザエにはきつい初恋だけど
私は最後までサザエに付き合おう。
この恋を最後まで見守ろうと思う。